富山県大山地区で今年14回目の開催となる「LIVING ART in OHYAMA」は、地域の自然環境や資源である「木」をテーマに、大山地区と若いクリエーター(関東の美術大学生を含む)とを結んで行われるアートプロジェクトだそうです。
その一環としてコンクール「木でできた冒険道具コンペディション」が全国に呼びかけて実施され、今年6月にあとりえこもより16人(17点)が応募しました。
子供たちが描いた ”もしも冒険に行くなら持っていきたい道具” の絵を9点選び、それを大学生らが木で制作をして実現するという、大変ユニークなコンクールです。期せずして、こもの生徒のアイデアが制作に選ばれました。
6月下旬。全国から集まった870点のアイデア画の中から、こもの生徒作品1点が上位賞、また、6点がアイデア賞を受賞しました。
上位9点中に選ばれたあすま君の作品。
「・持ちやすさと炎のふで。・じゅうとかたまるふで。・えのぐをつけなくてもかける形がかわるふで」
アイデア賞(50点)
この中にもあとりえこもの生徒作品が6点あります。(水色の枠を写真に加筆)
左より かいりさん、はるのさん、なぎささん
左より ひろむくん、あまねさん、わたなべさん
そして、この9点のアイデアを元にプロダクトデザインなどを学ぶ大学生たちが冒険道具を制作します。
6月下旬、9点に絞る審査とそれぞれの作品と制作する大学生とのマッチングが行われ、武蔵野美術大学の松下さんがあすま君のアイデアを木で制作することになったそうです。(↑写真はマッチング後、頭をフル回転させ構想を練る松下さん。主催者HPより)
8月下旬。いよいよ発表の日。あすま君と作品を制作した松下さんが始めて顔を合わせました。
松下さんが手にしているのが6月から2か月間かけて作られた作品です。木とは思えない意外な形の道具が生まれたようです。
8月下旬の2日間、入賞作品や実制作の作品が公開されるイベント。初日に表彰式と公開プレゼンテーションが行われ、晴れて審査員賞・内藤裕孝賞を受賞したそうです。おめでとうございました!
また、2日間の間には様々なワークショップが開催されたようです。
メガネのワークショップに参加するあすま君
あすま君はご家族と共に夏休みを利用して出かけられたそうで、保護者の方が当日の様子をリポートしてくださいました。
あすま君は丸一日、飽きることなく様々なワークショップに参加し帰りたくなかったそうです。
子供達のひらめきを核にクリエーターの卵らによる実制作。そして公開プレゼンテーション。
世代や地域の枠を超えた交流は大変有意義な機会ですね。ワークショップも含めこれらのアートイベントでは、木を軸にしてこれまでも何らかのきっかけや交流が参加者や関係者、地域に生まれてきているようです。http://livingart-in-ohyama.com/history/
なぜ美術がきっかけになるのか。美術は今も昔も個々の表現が出発点です。しかし、近年その表現について、美醜や技巧の優劣に価値を置いたり競い合うよりも、場所(機会)やコミュニケーションを楽しめるツールとする人々が増えてきたように思います。
ある二者の間で表現の質や方法の違いがあるのは当然なことです。違いに直面した時、相手と自分を隔てたり、仲良し同士だけで集まる理由にするのでなく、自己の枠を広げたり、相手(対象)を理解するチャンスと感じられる心・意欲を育むこと。美術の力の一つとしてそのようなことが知られ始めているように思います。
(写真提供:あすま君保護者)